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Trim collection:  Mare Embroidered Border, Lennox Velvet Bodder  / Samuel & Sons (アメリカ)

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モカ・ムース  ~パントン・カラー・オブ・ザ・イヤー2025

「モカ」とは本来、コーヒー豆の種類を指す言葉です。アラビア半島にあった、かつての港「モカ港」から出荷されたことに由来して、エチオピアとイエメンの2国で生産されるコーヒーを「モカ」と呼ぶのだそうです。
「モカ」は爽やかな酸味が特徴です。エスプレッソにチョコレートを加えた飲み物は「カフェモカ」と呼ばれますが、これは、モカの香りが、カカオに似たチョコレートを彷彿とさせる香りであることに由来しているといわれています。 コーヒーの苦みをチョコレートやホイップクリームがカバーすることで、やさしい甘さが口に広がります。
パントン社は、2025年の「パントン・カラー・オブ・ザ・イヤー」として「モカ・ムース」(PANTONE 17 - 1230 Mocha Mousse)を発表しました。この色は、温かな豊かさを感じさせるブラウンで、チョコレートやコーヒーの美味しさを思い起こさせます。私たちの安らぎへの欲求に応え、癒しをもたらしてくれる色です。
モカ・ムースを象徴するもの

パントン社は、世界中のあらゆる分野をフィールドにした綿密なマーケティングによって、毎年その年の時流を捉えるテーマカラー「パントン・カラー・オブ・ザ・イヤー」を選定しています。

 

2025年の「モカ・ムース」の選定のベースとなっているのは、「調和への探求」という時流です。2024年は、優しさを感じさせ、思いやりと分かち合い、コミュニティと協力のメッセージを伝える色「ピーチ・フィズ」が選定されました。その時流を引き継ぎ、そこに温かみや美味しさといった喜びの感覚を加え、さらに次の次元へ高める色として「モカ・ムース」を選定したと、パントンカラー・インスティテュート副会長のローリー・ブレスマンは語っています。

 

現代社会においては、私たちを取り巻くさまざまな状況において調和が重要視されています。人間関係、仕事、社会的なつながり、そして自然環境においても、調和が問題解決の鍵であるとの認識が広がっています。「モカ・ムース」は柔らかさ、豊かさ、そして温かみを持ち合わせており、調和を目指そうとする道筋を穏やかにサポートしてくれます。

リッチで温かみのあるブラウンは、視覚的にも触覚的にも引き付けられる色です。「美味しそう」「味わってみたい」という味覚の感覚や、「柔らかそう」「触れてみたい」という触覚の感覚を呼び起こし、誰もを引き付ける力を持っています。

 

そして、控えめな優雅さと洗練されたナチュラルさが見事に調和し、深い味わいと上品な魅力を際立たせています。気を散らすことなく、圧倒されることもなく、心地よさと快適さを提供します。それは誰もが心地よく感じ、すべての人を癒す懐の深い色といえるでしょう。

 

茶系色の実力

ブラウン(brown)は茶色を表す英語ですが、ゲルマン語由来の言葉で、語源を遡ると「熊」を表す「bear」に行き着きます。「茶色」というより「熊色」と呼びたくなるところですが、「モカ・ムース」を含む茶系色は、自然界に多く見られ、土や樹皮などの色としてずっと私たちに身近な色でした。

羊毛や麻などの天然素材には、その素材本来の色を活かしたものが多く存在します。

オーガニック製品や素材、天然色素に結びついた色に囲まれることで、私たちは自然との結びつきを一層深く感じることができます。これらの色は、安定感があり、地に足をつけた誠実さを持ち、自ずと自然界に由来しているため、時代を超えた価値があると考えています。

 

「モカ・ムース」は黄味の少ない、少し赤味の感じられる柔らかいブラウンですが、そのオーガニックな性質から、私たちの人工的な側面を受け止め、バランスをとってくれます。穏やかな色は、私たちの魂に栄養を与え、心のバランスにポジティブな影響をもたらしてくれる心強い色でもあります。

 

テキスタイルの材料として用いられる「モカ・ムース」カラーは、織物やベルベット、革などの素材の良さをダイレクトに伝え、美しく見せる色でもあります。思わず触れたくなるような、心地よさを演出してくれます。

コーディネートを楽しむ

柔らかく温かな「モカ・ムース」は、単独で使用することで洗練されたエレガントな雰囲気を演出します。ニュートラルカラーでもあるため、さまざまな色と調和し、多彩なカラーコーディネートが実現可能です。パントーン社では、「モカ・ムース」を用いた5つのカラーパレットを発表しています。

単色が美しいとされる理由は、色が陰影を捉えるからです。織物の糸同士の交差やパイルの高さ、向き、さらにはドレープから生まれる微妙な濃淡が、優雅さを際立たせます。モノの微細なカーブが作り出す光の角度の変化は、美しい濃淡を生み出し、繊細な影が重なり合うことで幻想的な効果をもたらします。

 

物の形を強調しシルエットを引き立てる作用もあります。薄手の透け感のある生地を重ねると、柔らかい雰囲気が醸し出されます。

ベージュ、クリーム、トープ、ブラウンとの組み合わせは、シンプルでリラックスしたエレガンスを演出します。ブラウン系の中でも赤みを帯びた「モカ・ムース」を加えることで、より新鮮さが際立ちます。

 

暖色と寒色を組み合わせた、豊かでややエキゾチックなカラーパレットは、色の鮮やかさを引き立てつつも、まとまりのある落ち着いた雰囲気になります。ピンクなどの暖色と合わせると、優しさと幸福感が生まれ、甘さも際立ちます。くすんだ緑やグレーとの組み合わせは、植物や石畳の小道を連想させ、穏やかでナチュラルな印象を与えます。一方で、寒色系のブルーやグレーとの組み合わせは、クラシックで調和の取れた品格を生み出します。

パントン・カラー・オブ・ザ・イヤーで選ばれる色は、時代の象徴として機能していますが、必ずしも流行色の予測を示すわけではありません。しかし、今年の色「モカ・ムース」は、その多様性から流行に密接に関連する色として私たちの関心を引き、注目される存在になるかもしれません。
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